離婚体験談 その3

離婚体験談

「私の離婚体験談」

年齢    30代女性

性別    女性

「シングルファーザー」「シングルマザー」

今やこれらの言葉もなじみがある言葉となりました。片親家庭で育つ子供の存在も多くなり、離婚が珍しくない時代となったと誰もが考えるでしょう。

しかし、実際の統計はどうなのでしょうか。総務省統計局のデータによると日本で婚姻関係にある夫婦の離婚率は1000人あたり1.7組であるとされています。一方アメリカは2.5組、ドイツとオーストラリアは2.0組です。諸外国の離婚率の統計からみてわかるように、先進国の中において日本は離婚率が低い国なのです。つまり、「シングルファーザー」「シングルマザー」とは耳慣れた言葉になっただけで、実際に片親に育てられている子どもはマイノリティなのです。

 実をいうと、私の生い立ちはマイノリティそのもの。物心をついた時から父がおらず、父の顔を知らずして育ちました。家族は4人家族で祖父母と母親でした。血を分けた兄弟はおらず一人っ子です。父親がいないことが当たり前の生活だったので、「さみしい」という感覚はありませんでした。むしろ、いないことが当たり前です。幼少期の自分は、それに対して違和感を全く抱くことはなく毎日を過ごしていました。

父親がいないという違和感に気が付いたのは小学校に入ってからです。クラスの友達は運動会、参観日といった学校行事に父親の存在があるのに対し、私には父親の姿はありません。

子どもは正直で素直、そして時には残酷です。自分とは異なる家庭環境の私にクラスの友達は、違和感を抱くのでしょうか。

「お父さんは?」

と、ことあるごとに聞かれるようになります。

当時の私は答える術すらありません。なぜなら、母親から父親がいないという理由を全くもって聞かされていなかったからです。どう答えていいかわからない私は、うまく答えることができず黙り込むことが多くなります。

成長するにつれて知恵もついてくるようになります。父のことを聞かれると私は、話をほかの話題にそらすことや

「(父は)単身赴任をしている。」

など適当な理由をつけてその場をやり過ごすことを学びます。

話をそらした時は、ほっと胸をなでおろし、一安心をします。しかし、そのあとやり場のない複雑な感情も湧き上がることが多々ありました。

「どうして私にはお父さんがいないんだろう。」

疑問に思うこともありました。しかし、それを母親に聞くことはしませんでした。父親がいないという理由をなんとなく聞いてはいけないものであると幼少期から察していたからです。さらに理由を聞いたところで母親の機嫌を確実に損ねることが容易に想像できたからです。

 父親がいなくて一番つらかったこと、それは金銭面が厳しいというような物理的な問題ではなく、マイノリティであるという現実に直面しなければいけない時でした。例えば父の日です。今の授業で同様の事があるのかわかりませんが、20数年前の当時は父の日に向けて似顔絵を描くという時間が設けられていました。

「みんなはお父さんなのに、私は・・」

描く対象者が家にいないので、代わりに祖父の絵を描き提出をしました。クラスの友達の中で自分だけが違う人の絵を描いている・・。言葉で言い表すことができない孤独感を感じました。

 家の外で突きつけられる、マイノリティという現実でしたが、家の中では何事もなかったかのように明るくふるまいました。学校で友達に言われたことを家で話したところで母親はどんな気持ちになるか・・。本能的に理解をしていたのでしょうね。

自分の言動で母親を傷つけてはいけない、悲しませてはいけないと彼女の顔色を見ながら過ごすことが多くなりました。

 子どもは成長をするにつれて、関わるコミュニティも広がりそれに比例し、視野も広がります。ですので、家庭環境について何か聞かれる、聞かれたとしても色眼鏡で見られることもなくなり、肩身の狭い思いをすることは少なくなりました。

それは両親の離婚は「過去の出来事」として人生の1つとなったのだと思います。

 私は離婚そのものが間違っている行為であるとは思いません。中にはDVをはじめとした複雑な問題が絡み合い子どもをいち早くパートナーから引き離すほうが望ましいケースもあります。また両親が喧嘩ばかり繰り返すことで家庭の平和が乱され、子の精神発達に悪影響を及ぼす危険性も否めないこともあります。

しかし、夫婦のみの一方的な事情で子どもから片親を取り上げてはならないとも思います。できるのであれば、「親」としてのパートナーシップを子どものために続けてほしいと切に思います。それは、私が「父親」という存在を知らず、なかったことにして生きてきたからこそ思うことです。なぜなら、当時の私に父という存在を感じ「愛されていた」という実感を持てていたのであれば、やり場のない孤独感や虚しさに悩むことがなかったのではないか、もっと自分の気持ちを存分に表現しノビノビと子どもらしく生活できたのではないかとも思うからです。

子ども時代に経験する親の離婚は少なからず心に爪痕を残します。親の事情で世帯が離れても「父」は父であり、「母」は母という存在です。それは他の何者にも変えられないかけがえのない存在です。

「お父さんとお母さんは別れちゃったけれど、2人とも自分を大事にしてくれる。」

双方から受ける唯一無二の愛情は子どもの自尊心を育てます。親から育まれた自尊心が土壌にあるからこそ心の平和が保たれ、その幸せを次世代に連鎖させることができるのではないでしょうか。

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